議事録の本当の価値は「決定事項」
議事録には 3 種類の情報が混在しています。
- 1. 決定事項(誰が・いつまでに・何をやるか)
- 2. 議論の経過(誰がどう発言したか)
- 3. 雑談・脱線
本当に価値があるのは 1 つ目だけです。2 つ目は次回の会議で話を蒸し返さないために残し、3 つ目は基本的に不要です。
議事録テンプレの最大の役割は、AI に渡した素材から「1 を確実に拾い、2 を簡潔に、3 を捨てる」ことです。
議事録テンプレの 4 段構成
実務で使える議事録は次の 4 段です。
- 1. 会議メタデータ:日時/場所/参加者/議題
- 2. 決定事項(最重要):行動主体・期限・内容を 1 件 1 行
- 3. 主要な議論:論点と方向性を 100〜200 字で要約
- 4. 次回までの宿題と次回日程
AI に渡すプロンプトは次の形になります。
あなたは会議の議事録作成担当です。以下の素材から、4 段構成の議事録を作ってください。
素材:
- 会議メタデータ:[日時/場所/参加者/議題]
- 録音文字起こし or 走り書き:[全文を貼る]
出力規約:
- 「決定事項」は表形式(行動主体/期限/内容)
- 「主要な議論」は論点ごとに 100〜200 字
- 雑談・脱線は除外
- 不明瞭な発言は「※要確認」と付記
- 名指しの引用は最小限(必要な場合のみ)
「※要確認」を付けるルールが重要です。AI は不明瞭な発言も無理に解釈する傾向があるため、これを抑制します。
録音文字起こしから作る場合
録音から議事録を作るなら、まず文字起こしツールでテキスト化し、そのテキストを AI に渡します。
注意点:
- - 1 時間の会議で 8000〜15000 字の文字起こしになる
- - AI のコンテキスト上限を超える場合は、30 分単位で分割して要約し、最後に統合
- - 録音には個人情報・営業秘密が含まれるため、許可ツール以外には渡さない
会議録音は機微情報の宝庫です。「文字起こしを ChatGPT に貼った」ら、社内規程違反になる業界が多くあります。許可ツール一覧を必ず確認します。
走り書きから作る場合
録音がなく、走り書きしかない場合も AI で要約できます。
走り書きの典型的な状態:
- - 箇条書き 30〜50 行
- - 主語が抜けている発言が多い
- - 時系列が一部入れ替わっている
AI には「次の走り書きを、論点ごとに整理し、決定事項を表に抽出してください」と指示します。AI は論点を勝手にまとめ直すので、走り書きの順序が乱れていても問題なく要約できます。
主要な議論の要約品質を上げるコツ
主要な議論の要約は、AI が一番苦手とする部分です。次の 2 つを指示に入れると品質が上がります。
- - 「論点を最大 5 つに絞る」
- - 「各論点で、賛成意見と反対意見を 1 文ずつ書く」
論点を絞る指示がないと、20 個の小さな論点を並べた読みにくい議事録になります。賛成・反対を書かせると、議論の温度感が伝わる議事録になります。
例示で社内らしさを出す
会社や部門ごとに議事録のスタイルがあります。
- - 結論優先か議論経過優先か
- - 表形式か文章形式か
- - 名指しの引用を許すか
過去の良い議事録を 1〜2 本、プロンプトに例示として渡すと、自社らしいスタイルで出力されます。
レビューと公開のフロー
AI 出力をそのまま公開するのは危険です。次の 3 段でレビューします。
- 1. 作成者が決定事項の正確性を確認(誤りがあれば訂正)
- 2. 議事録の主要参加者 1 名がレビュー(30 分以内)
- 3. 公開/配布
3 段の所要時間は通常 15〜30 分です。AI なしで議事録を作る時間(60〜90 分)と比べて半分以下になります。
ただし、決定事項に誤りがあるまま公開すると、後で「言った/言わない」の問題になります。1 段目の確認だけは省略しないでください。
失敗例
議事録テンプレでよくある失敗は次の 3 つです。
- - AI 要約をそのまま公開し、決定事項が誤って共有される
- - 録音を許可ツール外に貼り付け、機密情報が漏れる
- - 雑談・脱線が要約に混ざり、議事録が読みにくくなる
3 つ目を避けるには、プロンプトに「会議の本筋から外れた話題は要約しない」を明記します。
次回予告
次話から有料章に入ります。提案書ドラフトのテンプレを扱います。
この回のまとめ:
- - 議事録の価値は「決定事項」に集約される。
- - テンプレは「メタデータ/決定事項/主要議論/宿題と次回」の 4 段。
- - 「※要確認」付記ルールで AI の過剰解釈を抑える。
- - 主要議論は論点 5 つ以内、賛成・反対 1 文ずつ。
- - 録音や走り書きは許可ツール限定で扱う。
- - 公開前のレビュー 3 段は省略しない。