社外メールの 80% は構造が決まっている
社外向けの業務メールは、見た目は多彩ですが、構造は数パターンに収束します。
- - 依頼系(資料送付・スケジュール調整・確認依頼)
- - 案内系(イベント案内・キャンペーン連絡)
- - 報告系(進捗・結果・実績)
- - お礼系(商談後・納品後・年末年始)
- - お詫び系(遅延・不備・変更)
このうち、お詫び系を除く 4 系統は AI でテンプレ化しやすく、お詫び系は人間が書くのが基本です(事故対応の温度感が AI では出ません)。
依頼系メールの基本テンプレ
依頼系のテンプレは、次の 5 段で組みます。
- 1. 件名:用件+日付(「【ご依頼】◯◯資料の送付について(5/10 までにご対応願います)」)
- 2. 宛名:会社名/部署/役職/姓
- 3. 本論:背景 1〜2 行+依頼内容を箇条書き
- 4. 期限と返信先:「◯月◯日までに、当方 XX 宛にご返信ください」
- 5. 締め:「ご検討のほどよろしくお願いいたします」
AI に渡すプロンプトは次の形にします。
あなたは BtoB の営業事務として社外向け依頼メールを書く担当です。
以下の入力から、敬語・丁寧体で 5 段構成のメール本文を出力してください。
入力:
- 相手会社名:
- 部署/役職/姓:
- 依頼内容(1〜2 行):
- 期限:
- 返信先:
出力規約:
- 件名は「【ご依頼】〜」で始める
- 本文は 250〜400 字
- 絵文字・装飾なし
- 「お忙しいところ恐縮ですが」を多用しない(1 回まで)
このプロンプトをテンプレとして保存し、入力部分だけ毎回埋めれば、品質が安定します。
案内系メールの基本テンプレ
案内系は依頼系より緩く、3 段で組みます。
- 1. 件名:何の案内か+いつ/どこ
- 2. 本文:開催趣旨 2〜3 行/日時/場所/申し込み方法
- 3. 締め:「皆様のご参加をお待ちしております」
案内系では「結局どうすればいいか」が不明瞭なメールが多発します。テンプレ化のときに「次の行動を 1 文で書く」ルールを必ず入れます。
報告系メールの基本テンプレ
報告系は、相手が何を知りたいかで構造が変わります。
- - 経営層向け:結論 1 行+数値 3 つ+次回予告
- - 現場向け:背景+経緯+結果+次のアクション
- - 顧客向け:合意済みの事項+進捗+次回ミーティング日時
経営層向けは特に「結論を最初の 1 行に書く」を徹底します。テンプレに「最初の段は結論を 30 字以内で書け」と明記します。
お礼系メールの基本テンプレ
お礼系は短くするのがコツです。長文のお礼は逆に重くなります。
- - 件名:「◯◯のお礼」
- - 本文:御礼の言葉+具体的な印象に残った点 1 つ+今後への一文
- - 締め:簡潔に
「具体的な印象に残った点 1 つ」を入れるかどうかで、印象が大きく変わります。AI に「商談中の発言で印象的だった点」を入力として渡すと、定型文ではない文面が出ます。
例示の効果
メールテンプレで例示を使うと、口調がぐっと安定します。プロンプトに 1〜2 件の OK 例を入れ、
- - 自社の典型的な敬語の使い方
- - 自社の社名・サービス名の正式表記
- - 業界特有の用語
を AI に学ばせます。
社内で「自社サンプル集」を 5〜10 件用意してテンプレに組み込むと、新人でも自社らしい文面が出せます。
個人情報の扱い
メールテンプレで AI に渡してよいのは、相手の会社名・部署・役職・姓くらいまでです。
- - 個人の電話番号・私用メール・住所:渡さない
- - 商談で得た営業秘密:渡さない
- - 守秘契約下のプロジェクト名:渡さない
「便利だから」と渡すと、後から削除依頼が間に合いません。前シリーズ「実装設計」第6話で扱った漏えい経路を意識して使います。
失敗例
メールテンプレでよくある失敗は次の 3 つです。
- - 1 つのテンプレで全用途をカバーしようとして、結局使われない
- - 例示を入れず、汎用的すぎる文面が出る
- - AI 出力をそのまま送り、後で誤字や事実誤認に気づく
3 つ目を避けるため、AI 出力後に必ず人間が 1 回は通読してから送信します。テンプレ化=送信自動化ではありません。
次回予告
次話は議事録要約のテンプレです。会議録音や走り書きから、要約を作る型を扱います。
この回のまとめ:
- - 社外メールは依頼/案内/報告/お礼の 4 系統に絞ってテンプレ化。
- - 依頼系は 5 段、案内・報告は 3 段で組む。
- - 報告系は「結論 1 行+数値 3 つ+次回予告」が経営層向けの黄金型。
- - 自社サンプル 5〜10 件を例示としてプロンプトに組み込む。
- - 個人情報・営業秘密は AI に渡さない。
- - AI 出力は必ず人が通読してから送信。