人事で AI を使うときの基本姿勢
人事・採用は、応募者という外部の人を扱いながら、社内の人事評価という機微情報も交わる領域です。AI を入れるときの基本姿勢は、「文章生成」と「比較校正」までに留めることです。合否判断、評価の格付け、配置決定などの人の処遇に関わる出力は AI に任せません。
この線をぶらさずに済むよう、最初に運用ルールを 1 ページ書き出しておきます。求人票やスカウト文面、面接質問の作成は AI 可。応募者個人情報を渡しての絞り込みは不可。AI 出力は必ず人事担当が再校正してから外部に出す。これだけ決めておけば、現場の判断が安定します。
求人票の「比較校正」運用
求人票は AI で 1 案だけ作らせるのではなく、最初から 3 案を出させて比較校正します。3 案には次の差を入れます。
- - 案A:必須要件を厚く書き、即戦力に向ける
- - 案B:歓迎要件を厚く書き、ポテンシャルに広げる
- - 案C:仕事内容の具体例を厚く書き、入社後の実像を伝える
3 案を並べて比較すると、自社が本当に伝えたいのはどれか、どこが採用ターゲットの判断材料になるかが見えてきます。1 案ずつ作っていると、AI が出した最初の文に引きずられて、本来の採用要件から離れていきがちです。
AI に渡すのは、職務記述書、想定年収レンジ、評価される行動例、社内で過去にうまく入社した人のキャリア傾向、までです。応募者の名前や履歴書は渡しません。
スカウト文面の個別化と限界
スカウト文面は、応募者プロフィールに合わせて個別化したくなります。しかし応募者個人情報を AI に渡すと、ログ・学習・第三者参照のどこかで漏洩リスクが上がります。
代わりに、応募者の所属業界・経験年数・役職などの「属性カテゴリ」までを抽象化して AI に渡し、文面のバリエーションを 5 種類くらい用意しておきます。担当者が応募者を見て、最も近いカテゴリの文面を選んで送る、という運用にすると、個別化と情報保護を両立できます。
「○○ 様、お名前は ◇◇ さんで…」のような完全個別化を AI にやらせるのは避けます。誤情報を含んだ瞬間、応募者からの信頼を一発で失います。