読むことが速くなるほど、どの手作業を残すかが大事になる
AIは、読むことをかなり楽にします。
先に要約してくれる。難しい言葉を言い換えてくれる。章ごとの要点を出してくれる。質問すると、その箇所の意味まで説明してくれる。以前なら本文の横で自分でやっていた補助作業の一部を、かなり引き受けてくれます。
その結果、読むことは速くなりました。長い文章にも入りやすくなりました。
でも、ここで少しだけ立ち止まりたくなります。
読むことが速くなるほど、本文を通る意味はどこに残るのか。AIが横で説明してくれるなら、自分で手を動かして読む必要はどこまであるのか。ここが曖昧になると、読むことが情報受け取りだけの作業に近づきやすくなります。
歴史的に見ても、読むことはただ目で追うことではありませんでした。線を引く、余白に書く、抜き出す、見出しをつける、質問を立てる。こうした手作業が、理解の足場になってきました。
この回では、読むことに付随してきた手作業の意味を見直しながら、AIと読む時でも残したい人間側の仕事を整理します。
この回で扱うこと
- - 読むことには、昔からどんな手作業が伴ってきたのか
- - AIが読みの補助に入ると、何が楽になり、何が失われやすいのか
- - 理解を残すために、どの手作業を少しでも残した方がよいのか
- - AIと読む時の、実用的な読み方の型はあるのか

読む手は、昔から「受け取る」だけでなく「位置づける」ために動いていた
本や資料を読む時、人は昔からいろいろな手を使ってきました。