AI時代に残る役割は、「AIにできないこと」だけではない
シリーズの最後に来ると、どうしてもこういう問いを立てたくなります。
「では結局、人間に何が残るのか」
この問いはもっともですが、少しだけ注意も必要です。なぜなら、「AIにできないこと」を探すやり方だけでは、話がすぐ極端になりやすいからです。
感情は人間だけのものだ、創造性は人間だけのものだ、責任は人間だけのものだ。こうした言い方は、部分的には当たっています。でも、それだけだと抽象的すぎて、生活や仕事で何をどうすればよいかが見えません。
AI時代に人間側へ残る役割は、「完全に代替できない神秘的な何か」だけではありません。もっと地味で、しかし毎日かなり効く持ち場があります。
問いを立てる。条件を決める。何を大事にするかを引き受ける。違和感を捨てない。誰に何を伝えるかを決める。結果の責任を負う。どこで立ち止まるかを選ぶ。
これらは、AIが高性能になるほど、むしろ見えにくくなります。答えの形が先に出てくるからです。だから最後の回では、「人間にしかできない神秘」ではなく、「人間が持ち場として引き受けた方がよい役割」を整理します。
この回で扱うこと
- - AI時代に人間側へ残る持ち場は何か
- - 問い、価値、文脈、責任がなぜ重くなるのか
- - 日常や仕事で、何を自分に残すとぶれにくいか
- - このシリーズ全体の結論

1. 問いを立てる役割
AIは、与えられた問いに対してかなり多くのことを返せます。ですが、何を問うべきかは、まだ人間側の仕事であることが多い。